ホルター心電図 四方山話

ホルター心電図 四方山話します

心電図に混入するノイズの話 その4(PACなのかな、これは?)

心電図に混入するノイズの話 その4

では、実際にあった「これなんでしょう?」と言う心電図です

下図は3誘導のホルター記録です

青の矢印に注目、 自動解析でPAC2連で検出されました

前後の洞調律リズムからすると間入性PACのように見えます

形状は、CH1:CM5とCH2:CC5供も同じで、右脚ブロック様(或いは変行伝導)の上室性期外収縮かな

でも、CH2でS波ベクトルは左軸偏位のままで右脚ブロック様ではなさそうです

先行するはずのP波を探すと、スパイク状の波形がT波に乗っています(赤い矢印)

これが先行するP波であれば相対的不応期に出現したためPQが延びてると見えないこともないですね

CH3を見ると、P波と思しき波形の形状はスパイク状であり、緩い起伏を持つP波ではないようです

CH1、CH2のQRSに対応するCH3の波形は同様にスパイク状波形ですね

また、CH1とCH2は同一形状、同一方向、同波高のR波なので通常の刺激伝導系を通った

R波とは考えにくいと思います

その結果からすると、PACに見えたのは実はアーチファクトのようだと思いませんか

CH3が無かったら、判断に困った事例です

ではこのアーチファクトの原因はどう考えればいいでしょう

CH1・CH2同一方向で同レベルで振れてるので両チャンネル共通の所で発生したと考えられますね

そこは、両チャンネル⊖電極の場所でのスパイク状の電位変化と推測できます

おそらくは⊖電極への瞬間的衝撃などが原因かなと考えやすいですね

 

PAC様アーチファクト CH1:CM5 CH2:NASA CH3:CC5類似

 

さて次もPACと見紛うようなアーチファクトはちょっと判断に困るような波形です

下図の青い矢印がPACと思われるものです

QRS波の形状も両チャンネルとも似てるようで、間入性で前後に洞調律があります

先行P波は無いし非代償性休止期もないのでPACではないだろうけど、

悪いことに、両チャンネルとも同方向のR波でなく反対方向のR波が出てますね

両チャンネル共通の電極で発生したアーチファクトとは考えられなくなりました

では、上室性から出た波形と言っていい??

PAC様アーチファクト CH1:CM5 CH2:NASA

そこで、ほかの時間で同じようなアーチファクトが混入した波形を探すと、下図のような赤い矢印の波形がかなり見つかりました

波高値は小さいですが、CH2がqr波形となる類似波形ですね

これは筋電図のような波形でアーチファクトと見れるので、上図の波形もアーチファクトと判断してもいいと思いますね

ただ、上図のアーチファクトは波高値が大きいし単発で発生してるので筋電図と見ていいかどうか判然としません

チャンネル間で逆相性の波形なのでCH1とCH2で異なる電極で発生した電位変化が原因となったアーチファクトとも考えられますが

実際のとこちょっとわかりませんというのが本音です

PAC様アーチファクト CH1:CM5 CH2:NASA

まあこのようなアーチファクトがほんの少しだけ出てるのであれば、検出誤差範囲といっていいかもかもしれませんが、頻発するようだと一つずつ見ていかなければなりませんし、解析の邪魔になるしと、アーチファクトの対策を講じることが重要になってくるので、その原因をしっかり考えて対策しなければいけませんね