ホルター心電図 四方山話

ホルター心電図 四方山話します

ホルター心電図ブログ開きました

ホルター心電図のブログを開設しました

ホルター心電図の解析に携わって、日々心電図を見ているといろんな波形や症状やイベントに出くわします

一日中記録器を携帯して記録した心電図

それは貴重なデータです

それをできるだけ正確に精密に解析し報告書にまとめ医療者の診断治療等に供するのが、その役目だと考えています

しかしながら、その精度や信頼性を確認もできなければ、専門医師などからの指導を容易に受けることはかないません

そこで、今まで培った知識や経験をもう一度まとめて整理して検証したいことと、

ホルター心電図解析で日々疑問に思うことや悩ましいことなどについて、アウトプットして意見をいただき

ディスカッションなどできればいいなぁと思いブログ開設に至ったわけです

それと、

日々出会う心電図の中、そこにある貴重な心電図やホルターの話、それにまつわる四方山話を書いてゆきたいと思います

そして、多少でも、ホルター心電図を解析する、或いは診療に供する方々のお役に立てればと思います

 

アーチファクトを減らそう ~先ずは皮膚・電極インピーダンスを理解しよう~

ホルター心電図では、混入するノイズによってはアウト!!という事態も起きかねませんね(せっかく24時間も装着してたのに至極残念な結果となることもあります)

何とかノイズを低減したいものですよね

ホルター心電図では、混入してくるノイズのうち中でも、人工的なノイズ所謂アーチファクトは容易に発生する構成だし原因が分かり難く結構厄介ですね

これまで、当ブログではアーチファクトについて「心電図に混入するノイズの話 その1~5」まででその種類と実際例を見てきました

これから、ノイズ低減のためにどう対処すればいいかをまずは、測定系の皮膚や電極周辺で発生するアーチファクトの成因を基本的なところから取り上げてみます

心電図を導出電極で発生するノイズなので、これは避けては通れませんね

如何にこれを低減するかという話になるので、発生する原因をぜひ理解したいところです

大まかに言って、測定したい心電図以外の信号はすべてノイズ=雑音として見ていいですよね

そして、人工的な要因で発生するノイズをここでは「アーチファクト」と言いたいです

なので、生体自体から発生する信号である筋電図、脳波、眼振、などはここでは考えません

 

ノイズを考えるためには電気的な知識として、インピーダンスと差動増幅器について基本的なことを知っておかなければ理解が進まないと思いますのでこれから数回に分けて取り上げてみたいと思います

 

 

さて、ホルターで使用される心電図電極はディスポーザブル電極です

その形状、材料等により種類がありますが、ここでは、下の模式図のようなごく一般的な心電図ディスポーザブル電極を見てみます

 

構成は、フォームバッキングに導出電極として銀-塩化銀電極を取り付け、皮膚との接触面を導電性ゲルで満たしたものを皮ふに貼り付けたものを考えます

 

アーチファクトと謂えどもある種の電気信号なので、測定系を電気的に考える必要があります

皮膚や電極を電気的に考えるにはどうするの?? って話ですよね

そこで登場するのが、等価回路という考え方です

これは、皮膚や電極の測定系の電気的特性を計測し、それと特性が同じようになる抵抗成分、容量成分、電磁誘導成分を持つ素子で電気回路を構成し、これを等価回路と呼びます

等価回路を構成する容量及び誘導素子は、周波数をもつ交流信号を回路に加えたときに抵抗値を持ちます(交流抵抗と呼ばれます)

もともとの抵抗成分(直流抵抗と呼ばれます)と、交流抵抗成分を合わせてインピーダンスと呼びます

 通常はインピーダンスの容量成分(容量インピーダンスと呼びます)、電磁誘導成分(誘導インピーダンスと呼びます)は、加わった周波数によって変化します

例えば、容量インピーダンスの大きさは周波数に反比例し、誘導インピーダンスは周波数に比例して大きくなります

一方、直流抵抗成分は周波数にかかわらず一定の値を取ります

 

皮膚や電極を信号源に対する等価回路は、その系の電気的特性により何通りかが考えられていますが、そのうちの一つで下図のような回路*を考えてみます

 インピーダンス等価回路(「星宮 望氏:「生体用電極の問題点」,心電図 Vol.4 No.1 1984」より抜粋)

 

皮膚・電極の模式図に対応して、下図のように皮膚・電極インピーダンス等価回路が考えられます

皮膚には皮膚インピーダンス、電極側には電極インピーダンスを構成します

インピーダンスは、直流抵抗成分と容量成分の並列回路で構成され、増幅器の入力に対し直列につながっていると考えられます

また、電極側には「分極電圧」と言う直流成分があります

分極電圧とは、金属電極と電極ペースト間で発生する直流成分です

そして、皮膚側には心電図の信号源があり、電極導子側にはホルター心電計の入力が接続されます

ホルター心電図の記録をする場合、この等価回路を使って測定系を見てみると下図のようになります

下図は、1つのチャンネル(1つの誘導)についてみたものです

測定回路

1つのチャンネルには、誘導したい部位にECG⊕信号入力とECG⊝信号入力用の電極が貼られ、さらに基準電位用に(言ってみれば、ニュートラル信号のようなもの)不関電極を貼ります

⊕⊝電極は、心電図信号源から先には皮膚と電極によるインピーダンス等価回路Zs⊕とZs⊝を各々通り差動増幅器の⊝入力と⊕入力に接続されています

(ここで、不関電極の皮膚・電極インピーダンスについては、基準電位として各入力共通の電位なので、考慮しなくていいと思うので省略します)

 

ここまでで、インピーダンスについての基本的な理解は進んだと思いますが、アーチファクトの発生について考える場合に、もう一つ心電図信号を増幅する差動増幅器の特性についても知っておいた方がいいと思いますので、次回それについてみて見ましょう

 

 

ホルター心電図の誘導法については、下記ブログ参照してください


himonzy-papa.hatenablog.com

 

次回は、これらのインピーダンス変化が心電図信号を増幅する差動増幅器に対しアーチファクトに関してどういう影響を及ぼすかについて見ていきたいと思います

 

 

QRS波形をベクトルで読み解く その4(左脚ブロック心電図)

「QRS波形をベクトルで読み解く その4」 は、前回が「右脚ブロック」とくれば、左脚ブロックですから(?)今回は左脚ブロックの波形から起電力ベクトルを推測してみましょう

図の2誘導は、CH1:CM5誘導でCH2:NASA誘導です

左脚ブロックも特徴的な形状していて、CH1ではRR'波形、CH2ではrS波形'が一般的です

早速、Q/R/Sセグメントに分けてみて見ましょう

考え方は前回と同じですね

各時相において、波形の大きさを各誘導にとり(各誘導に沿った緑の細い矢印)、それぞれの垂線(緑の点線)を下ろして交点をとり、基点からその交点までを結ぶと、そ大きさと向きがその時相における起電力ベクトルとなります

そして、このベクトルは基点に平行移動したものなので実際の起電力ベクトルの位置は、その時相で起きてる心室の収縮の最大値を取る場所と見なして推測します

 

下図を見てください

まず、①の時相です

CH1のR波の立ち上がりがCH2よりも早くで、①時相のCH2は0mv、CH1はR波立ち上がり始めで約+0.3mv位ですね

方向は、殆ど電気軸0度あたりですね

これは、左心室側が右心室側よりも早く興奮してることを表してますね

正常ならこの時相では、中隔は左室側から右室側に興奮するのですが、左脚がブロックしてるので中隔の興奮は、右室側から左室側向くことになります

で、起電力ベクトルは心室中隔辺りにあると考えると図の①の緑(太線)矢印のようになります

そのため、左室側で誘導する波形は中隔興奮のQ波がありません

もしあったら、それは左脚ブロックではないと考えていいようです

 

次に②の時相です

CH2のR波ピークで、CH1は既に立ち上がってるので+1mv、CH2は+0.3mv

先ほど同様、各誘導での波形の大きさをそれぞれの誘導にとり心室の起電力ベクトルを推測すると、R波のベクトルは下側、右室方向に向かってるのが分かります

ブロックでなければ左室側に向くのですが、左脚ブロックでは先に右室側が興奮するので、この時相では右室側興奮による起電力となり図の②赤矢印(太線)のようになります

なので、CH1のR波は立ち上がり途中、CH2はr波ピークの波形となります

教科書的な左脚ブロック波形であれば、この時相でのCH1のR波はもう少し右室側に向き大きさが小さくなりrR’のノッチがよく見られるのですが、ここでは現れてきてませんね

 

③はCH1のR波ピークの時点で、+1.5mv、CH2はS波で+0.8mv 位

この大きさを各誘導に取り同じように処理すると、③の時相の心室の起電力ベクトルとなります

CH1のR波ピークで、CH2のS波もピークだということは左軸偏位が起こって、なおかつQRS幅が広いので作業心筋を伝導して左室側に向いてることが推測されます

興奮は右心室から左心室へとの興奮が伝わってることとなり、ベクトルの最大の位置は左室側と考えていいでしょう

 

各々のセグメントで①~③の時相を見てみましたが、見慣れた左脚ブロック波形の起電力を連続してイメージすると、波形と心臓の刺激伝導、興奮の関係がよりよく理解できますね

下図に、QRS波形の起電力ベクトルの時間変化とCH1:CM5誘導での波形を図形化したので参考にしてください

 

LBB起電力ベクトル動画

 

 

 

QRS波形をベクトルで読み解く その3 右脚ブロック波形

「QRS波形をベクトルで読み解く その3」 は、異常波形の中でも分かりやすい右脚ブロック波形の起電力ベクトルを推測してみましょう

 

図の2誘導は、CH1:CM5誘導でCH2:NASA誘導です

右脚ブロックは特徴的な形状していて、CH1ではRS波形、CH2では(q)RR'が一般的です

早速、Q/R/Sセグメントに分けてみて見ましょう

下図を見てください

 

 

まず、①の時相です

R波の立ち上がりで①時相のCH2はr波ピークで+0.3mv、CH1はR波立ち上がり始めで約+1mvですね
この大きさを各誘導にとり(各誘導に沿った緑の細い矢印)、それぞれの垂線(緑の点線)を下ろして交点をとり、基点からその交点までを結ぶと、そ大きさと向きがその時相における起電力ベクトルとなります

そして、このベクトルは基点に平行移動したものなので実際の起電力ベクトルの位置は、その時相で起きてる心室の収縮の最大値を取る場所と見なして推測します
この①の時相は、心室興奮の最初で心室中隔が左室から右室側に興奮したものと考えられ、CH1でr波のピーク、CH1ではR波の立ち上がり途中の心電図波形となります
この波形ではベクトルの向きが心室中隔の右から左方向に僅かに向いてますが、その方向は各誘導の電位差が大きいため電位の取り方で微妙に変わって電気軸で+/-10°位は誤差になるので、実際には中隔に平行位に見ておいていいのではないかと思います
理屈からすればベクトルの向きは左から右方向を向くんですがね・・・・
で、ベクトルは心室中隔辺りにあると考えると図の①の緑矢印のようになります

 

②の時相はCH1のR波ピークで、CH1は+2mv、CH2はr波ピークから少し下がったところで+0.2mv でこの大きさを各誘導に取り(各誘導に沿った赤の細い矢印)、①と同じように処理すると、CH1とCH2から下した垂線の交点と基点を結んだベクトルは②の時相の心室の起電力ベクトルとなります
R波のベクトルの中心は、通常なら左右心室が同時に興奮し左室側がより強く興奮してるのでベクトルは中隔から心尖部に位置しやや左室方向よりとなるとなりますが、右脚ブロックではこの時相では右室側はまだ興奮していないので左室側のみの興奮による起電力となり図の②赤矢印ようになります

なので、CH1のR波は大きくピークとなり、CH2はr波ピークからの立下り途中の波形となります

 

③はCH1のS波で+0.1mv、CH2はR'波で+0.2mv でこの大きさを各誘導に取り(各誘導に沿った青の細い矢印)、①と同じように処理すると、③の時相の心室の起電力ベクトルとなります

ベクトルの方向は、左心室から右心室へと方向が向いてるので、右心室から左心室へとの興奮が伝わってることとなり、ベクトルの最大の位置は心尖部付近と考えていいでしょう

 

④の時相は、CH2のR'波で+0.6mv、CH1のS波は0.5mvでこの大きさを各誘導に取り(各誘導に沿った紫の細い矢印)、この大きさを①同様に処理すると、④の時相の起電力ベクトルとなります

ベクトルの方向は左心室側から右心室方向で、左心室の興奮はR波が無くてS波なので右心室だけが興奮してることになります

なので、ベクトルの位置は右室壁と考えていいでしょう

 

各々のセグメントで①~④の時相を見てみましたが、見慣れた右脚ブロック波形の起電力を連続してイメージすると、波形と心臓の刺激伝導、興奮の関係がよりよく理解できますね

次回は、左脚ブロックの起電力ベクトルを見てみましょう

 

QRS波形をベクトルで読み解く その2(正常心電図を見てみるかぁ)

心電図波形をベクトルで読み解きます

正常心電図のQRS波形から起電力ベクトル*を推測してみます

2誘導のホルター心電図では、CH1はCM5誘導でCH2はNASA誘導です

Q/R/Sに分けて見ます

①がQ波で、CH1は-0.05mv、CH2は+0.1mv(緑の細い矢印)

このベクトルを各誘導から垂線を(緑の点線)下ろすと、その交点が①の起電力ベクトルで各誘導に投影されたものとなります

心室興奮の最初は、心室中隔が左室から右室側に興奮するので、Q波のベクトルの中心は心室中隔辺りにあると考えられるので下図のようになります(①緑矢印)

②はR波で、CH1は+1.5mv、CH2は+0.7mv (赤の細い矢印)

この大きさを各誘導から垂線を(赤の点線)下ろすと、その交点が②の起電力ベクトルが各誘導に投影されたものとなります

R波のベクトルの中心は左右心室が同時に興奮し左室側がより強く興奮してるのでベクトルは中隔から心尖部に位置しやや左室方向よりとなると考えられるので下図のようになります(①赤矢印)

③はS波で、CH1は+0.1mv、CH2は+0.5mv (青の細い矢印)

この大きさを各誘導から垂線を(青の点線)下ろすと、その交点が③の起電力ベクトルが各誘導に投影されたものとなります

S波のベクトルの位置は心基部、左心室後方及び心室中隔上部の後興奮と考えられるので下図のようになります(①赤矢印)

起電力ベクトル(正常QRS)

ここでちょっと押さえておきたいのは、場所と時間と共に変化する起電力ベクトルの同定です

各波形セグメントでの起電力ベクトルは、基準点を房室結節付近に採って見ています

なので、実際のベクトルがどこにあるのかは時間と共に変化する場所を同定するのはあくまで推測することになります

それと、各誘導で発生するベクトルは、心臓に発生した起電力全体が各誘導に投影されたものであるということですね

 

*正常心電図のQRS波形から起電力ベクトル」については以下を参照しています

 「図解心電図学」M.J.Goldman著、 吉利・宮下訳 1988年 金芳堂刊 

  第5章 正常心電図 参照

 

心電図に混入するノイズの話 その5 (VT/Vfと見紛う程のアーチファクトはどこから?)

ホルター心電図に紛れ込む厭らしいほどのアーチファクトに、よく見る「VT/Vf*擬き(もどき)」がありますね

   *VT/Vfとは

    ここで言うVT、Vfはその種類や発生起序に分類される厳密な定義ではなくて、「3連続以上する心室性収縮」程度の意味

     で使っています

アーチファクトと始めからわかるなら無視しますけど、VT/Vf 擬きですからちょっと怪しかったり判然としない時にはほうってはおけず落ち着きませんよね

で、結構よく出てくるんですよね、そんな「擬き」は・・・

下図を見てください

今回はそんなアーチファクトを見てみたいと思います

(まだ分かりやすい方ですね)

Vf擬きアーチファクト

 

さて、心電図に出てくる「擬き」を「擬き」と判断するには、臨床上のVTやVf(その定義には諸説あるとは思いますが)がどいうものか知ってないといけませんね

でも、VTやVfはほとんどお目に架かれないですよね

病棟のモニター心電図でも、安静心電図だってそう簡単に記録できるものではないし、況してやホルター心電図ではまず無理でしょうから

なので、実際のVT/Vfは既に披露されてる図を借用し使わせていただきました

 

心室頻拍(VT)

  HR高、QRS幅広、連結期一定、Ⅱ誘導で房室解離(所々にP波)、左軸偏位

  というところで、VTと見てるようです

VT(MSDマニュアル 心室頻拍)より借用

 

■多形性心室頻拍(TdP

   次は、形状が時間とともに変化してゆく(起源が移動するからでしょうか?)VTですね

  こちらも、HR高、QRS幅広、連結期一定、房室解離(所々にP波)、QRS形状と大きさが経時的に変化(うねり?)

  というところで、TdP

VT(看護roo_tdpより借用)

次に、VfのECGです

アーチファクトじゃあないのかな?という点からみていくと、だんだんそれらしくなってきましたね

 

心室細動(Vf)

大きさも形状も周期もばらばらに心室が興奮してますね

12誘導の安静心電図で全誘導同様な波形が記録されてるのノイズではないということが分かりますが、1/2チャンネルしかなかったらどうでしょうか??

Vf(看護師ももの_心電図勉強のためのブログ)から借用

 

さて、下図が実際に記録された心電図です   

どうでしょうか、この波形は?

 

ホルター心電図の誘導については、カテゴリー「ホルター心電図装置のこと」で書いた「ホルター心電図の誘導法」を見て下さい

 

VTアーチファクト 

誘導は、3誘導で CH1:CM5 CH2:NASA CH3:CH1とCH2の差分ベクトル(CC5の左半分)で、心電図電極はCH1とCH2のマイナス側、

先ず、基本調律を探すと、赤矢印で示すところに、一定リズムで同一形状のQRSがあるので、P波はっきり見えないけど、これですね

それ以外の所の波形、青い矢印は、一見PVCとも見える波形ですね

(殆ど、アーチファクトに近いと思うけど? どういうことで否定できるかな?)

この波形の連発に着目すると、HR 120bpm以上、QRS幅(ちょっと怪しい?)、R波高、連結期ほぼ一定、の3連続以上の心室性リズムのように見えるものがあります
PVCやVT??

そうではないですよね・・・・

なぜそう判断できるのか?

先ず、単発や2連発の波形(青い矢印)を見てみましょう

基本調律以外の波形は、同相、同極性、相似波形ですね

異所性の心室性興奮であれば誘導によって形状が多少は違ってるはずです

それと、基本調律に対してその前または後ろにランダムに出現していますね

異所性とは違う、何か違和感*を感じませんか?

 違和感

   はっきりとは断言できませんが、この「違和感」を感じることが、心電図判読上とっても大切ではないかなぁと思ってます

そんなことから、これらは異所性刺激によるR波ではなくて、ノイズ、それもアーチファクトではないかと推測できます

 

そういう目で、連発する波形を見てゆくとそれがVTではないように見えてきます

その理由は上記に加えて、

①VTの3特徴(同形状心室性R波で連結期一定、房室解離、心室把捉)に該当しない

②中央にある正方向の波形と連発中の波形の中に、R波とは思えない急峻な立ち上がりの棘波がある(それも同相、同極性)

③QRS幅がまちまちで同一起源のR波とは考えにくい

④連発のレートが最速300bpm位

ということで、これらの棘波は、アーチファクトと判断しました

 

では、何が原因のアーチファクトなのか?

波形の立ち上がり立下りが比較的緩やかで波高も大きくないので生体由来の信号かとも思えるけど、単発や5Hzの連発がランダムに発生しているところで信号の連続性もないから、そうでもなさそう・・・

誘導ノイズの周期性もないし低周期の変動でもないようで・・・

時間的には単発、不連続、瞬間的だったり、波高値はそれほど大きくない1~5mⅤほどの波形

接触不良ノイズや静電気ノイズのような断続的に早い周期のノイズでもないし・・・

残るは、電極ー皮膚間の距離変動によるインピーダンス変動、分極電位の変化などが考えられますね

例えば、電極リード線が引っ張られたり、電極が浮いたり、電極に圧力が加わったり、皮膚表面形状が変化したりと、電極と皮膚間の距離が変化する状態により、そのインピーダンスや分極電位が変化しアーチファクトになります

CH1,CH2誘導とも同相、同極性なので共通の所、マイナス側電極で、その大きさが誘導で異なるような*アーチファクトの原因が発生したと思われます

   同相で同波高値のノイズが両誘導に同時に入力すれば、差動増幅器からはその出力はほぼ0となりますが、

     波高値がそれぞれ異なるとその差分が増幅され出力されます

考えられるのは、時間的に瞬間的あるいは断続的に、両誘導のマイナス側の電極リード線が引っ張られる、或い電極が圧迫される、又は皮膚上で電極の浮きが発生するなどです

 

次に、ノイズ波形が持続的に出現するアーチファクトの例です

2つの心電図は、同一被検者で異なった時間での記録です

誘導は、CH1:CM5 CH2:NASA で、4段に分けて書いた連続した心電図です

 

まず一つ目の心電図を見てみましょう

4段目のCH2だけ見れば、もう「Vf」確定の「Vf擬き」ですね

最初の段では、CH1は電極が皮膚から離れてるようで、電位が上下に振り切れて出力が飽和してる状態です

CH2は、電極がかなり浮いた状態でゲルが着いたままでまだ電極パッドも着いてるようで、リード線の揺れに同期したアーチファクトでR波が埋もれてます

2段目では(感度は自動的に1/4に変更されてます)、CH1は片側極性に振り切れたままになりましたが、(多分オートシフト機能で基線が戻ってる)CH2ではそのままの状態が続いてますね

3段目(感度は自動的に1/2に変更されてます)まで来ると、CH1は電極が着いたままとなったので基線に戻ってR波が見え始めますが、CH2は揺れの頻度は変わらないけど、揺れの大きさがやや小さくなったようです

4段目では、CH2はかろうじてゲルで皮膚と接触してるものの、基線の揺ればかりでR波は見えません

この状態が「Vf擬き」となります

アーチファクトは、波高値は変化しますが3~6hzぐらいの周期の波形で規則性があるようなので、電極周辺に起因するアーチファクトというより外部からの誘導ノイズと見た方がいいような感じですね

CH1が基線状態だったり、R波が見える状態だったりしたので、CH2がアーチファクトだと判断できますが、そうでなかったら断定的なことが言えない場合もありますね

 

Vfアーチファクト 

さて次の下図も、「Vf擬き」、「TdP」のような波形の心電図です

波形を詳しく見てみると、これも、CH1は約3.6㎐の周期性のある、波高値がほぼ同じ波形が12秒ほど続いて基線化の後にR波がかろうじて見えるほどにぎりぎり繋がってる電極のようです

1、2段目のCH1は、実際は過大入力があって出力が片側(正側)に振り切れるほど飽和してオートゲイン機能が働き、中央にシフトしてるようですね

CH2にも、小さいながら同じ周期の波形が基線上に乗って来てますね

ただし、2つの波形の位相は同相、同極性ではなくー80°の位相差があるようです

(ちょっと細かく言うと)これは、両チャンネルの⊕電極間に、コンデンサ:Cと抵抗:Rのインピーダンス*回路が形成されて、そこに外部からのノイズが誘導されたと推測できますね

  インピーダンス(詳細は、ブログカテゴリー「ホルター心電図装置のこと」”電極インピーダンス”に書いておくので

      詳細はそちらを参照してください

    交流回路における抵抗成分のことで、周波数と共に抵抗値が変化する静電容量(キャパシタンス)成分や

     電磁誘導成分(インダクタンス)と直流抵抗成分が合成された回路のこと

    電極と皮膚の間でインピーダンスが発生し回路を形成し、接触してる距離や状態でその値や成分が変化するので、

     そこを通る波形はその大きさや形状、位相などが変化することになり、アーチファクトの原因となります

この外部からのノイズは、上図の6:15の時と下図の13:03では形状や大きさが違うものの、その周期は同じで、皮膚間のインピーダンスがかなり大きくなっった状態、辛うじて皮膚から浮いてるように着いてる電極から飛び込むような環境下での記録だったと推測されます

VTアーチファクト

3段目になると、CH1では電極と皮膚が近づきまだ高いインピーダンスながら辛うじてR波を拾っているように見えます

 

皮膚状態や電極の着き方などで、外部から飛び込んでくるノイズやインピーダンス変化によるアーチファクトが多く発生することが分かります



ホルター心電図の誘導法

ホルター心電図の誘導は、一般的に2又は3チャンネルですが2チャンネルが主流と思います

最近では多チャンネル誘導記録もできるようですが・・

誘導法は何種類かの方法によりそれぞれ特徴があります

よく使われるのが

CH1:CM5 ⊕電極はV5の位置で、⊝電極は胸骨上端右側

     Ⅱ誘導類似の波形でR波が大きい、左室側の変化が現れる、下壁虚血が現れやすい

     なので、不整脈や伝導系による波形変化が出やすいのでCH1電極はしっかりと着けたいですね

CH2:NASA ⊕電極は剣状突起下側で、⊝電極は胸骨上端

      V2に似た波形、aVF波形にも似てます、P波が大きい、右室側の変化が現れる、

      基線が安定し易い、ので上室側の刺激伝導の変化を把握しやすいです

      と、謳ってますが実際は胸骨上は窪んでるので電極が浮きやすくアーチファクトが

      多く混入することしばしばありますので、こちらもしっかりと電極取り付けたいです

CH2のもう一つの誘導は、

CH2:CC5  ⊕電極はV5の位置で、⊝電極はV5Rの位置

     V5類似の波形、体位の影響が少ない

    

で、

当ブログ掲載のホルター心電図はCH2はNASA誘導で行っており、下図のようになっていますます

 

では、CH3はというと

これも何種類かありますが、当ブログでの誘導法はCC5誘導の変形です

⊕電極はV5の位置で、⊝電極がV5Rではなくて剣状突起下(NASA誘導の⊕電極の位置)となってます

CH3は図で解るように、CH1ベクトルとCH2ベクトルの差分となります

CC5同様体動の変化を受けにくいので、補助誘導として役立ちます

 

当ブログで3チャンネル誘導の場合(装置仕様上)、CM5誘導とNASA誘導の⊝電極は共通になってます 変形NASA誘導では、⊕電極がCM5誘導の⊕電極と共通に、また⊝電極はNASA誘導の⊝電極と共通になっています

この方法により、誘導は3つの電極とGND電極1つの計4つの電極で済みます

2チャンネル誘導の場合は(装置仕様上)、各チャンネルで夫々⊝電極を取り付けています

GNDはアース又は不関電極で体動の少ない右脇腹に位置します

 

電極誘導法

 

QRS波形をベクトルで読み解く その1(起電力ベクトルの原理)

ベクトルという考え方で心電図波形を見ると、心筋活動の時間、方向、大きさが見えてきます

(心電図波形は、電気刺激の伝導により起電力が発生した結果であり、心筋活動そのものではないという記事を見たことがあります

でも、心筋活動による電位変化が起電力として現れ心電図となるのだから、心筋活動そのものと見做していいと思うのですがね、如何でしょうか?)

 

そこから推測して、刺激伝導経路の時間と方向が見えてきて、波形の成因が分かった気がするものです

なので、ベクトルという考え方を身に着けておくときっと役立つと思いますよ

 

では、ベクトルっていったい何?

力を表すにはその「大きさ」だけを表すスカラー

「大きさ」に加えて「向き」も持った量を表すベクトル量

があります

専門的な知識は不要です(と言うか、よくわかりません)

わかる範囲で理解していきましょう

 

例えば、電気の力でも電池のようなものの起電力を考えた場合、「電圧」や「電流」は大きさ(と極性)を持ちますが方向はありません

一方、筋肉で発生する起電力は、大きさとだけでなく力の方向を持ってますね

それを表したのがベクトルです

下図を見てください

 

ベクトル線

矢印ABは、2次元座標で、有向線分で表されその矢印の角度がベクトルの向きを意味し、そして、ベクトルは向きと大きさが同じであれば「位置は問題にしない」という特徴があるので、心電図波形からの刺激伝導系の解釈に使うのにもってこいだと思います

心筋興奮による起電力は、3次元的に発生する場所と大きさと方向が、時間と共に変化します

これをある瞬間において、ある断面で2次元的に大きさと方向を座標軸に投影させたのがベクトルです

そして、各座標軸に投影されたベクトルの大きさが時間と共に変化したのが心電図ということになります

具体的には、投影される座標軸は「**誘導」と呼ばれ、ベクトルの大きさを電極がピックアップし、時間経過と供に記録されると「**誘導の心電図」ということになります

 

では、心電図誘導の基礎、Einthovenの3角形(下図)について見てみましょう

心電図の四肢誘導は、双極*で四肢に電極を貼り、心臓を前額面の2次元像と見て、心臓を取り巻く正3角形に起電力の向きと大きさを投影するものです

座標は、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ誘導で⊕⊝極性は下図のように決まってます

まず、ある時間に心室で赤矢印のような起電力(左心室と右心室の起電力の合成された起電力と考えます)が発生したとすると、各座標、つまり各誘導には図のような電位が観測されます

つまり、起電力ベクトルの各座標(誘導)方向の成分、つまり起電力ベクトルを各座標に投影した(垂線をおろした)大きさの電位が観測されます

心臓は時間と共に起電力の大きさと方向を変化させるので、座標に投影された電位を時間に沿ってプロットしていくと大きさの変化する波形となります

それが、各誘導に現れる心電図ということですね

 

Einthoven3角形

 

次に、先ほど書いたように、ベクトル線は大きさと方向を変えなければ平行移動できるという特徴があるので、この座標(誘導)を房室結節辺りにその中心を集めてみましょう

すると、下図のようになりますね

赤矢印の起電力ベクトルは、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ誘導の座標では垂直に投影移した大きさの電位が生じます

見方を変えれば、各誘導で記録された電位が分かれば、そこで発生した起電力ベクトルが分かるといいうことになりますね

つまり、座標の原点を起点とした角度と大きさとなるので電気軸で考えることができます

 

Einthoven3角形平行移動

 

では、この考え方を下図のようなホルター心電図の誘導に当てはめて見ましょう

CH1がCM5誘導、CH2がNASA誘導で下図の矢印(橙色矢印がCM5、青色矢印がNASA)の大きさの電位がそれぞれ記録されたとします

そこにどんな大きさと方向の起電力が発生したのかは、各誘導に記録された電位からそれぞれ垂線を降しその交点を求めれば、それがそこで発生した起電力となります

原点からの距離が大きさで、角度が電気軸となります

この起電力の大きさの時間的変化を記録したのが心電図になります

ですから、時間ごとの各誘導の大きさをプロットしてゆけば起電力の大きさと電気軸の経時変化が導けるということになりますね

 

*双極誘導(或いは単極誘導)とは・・・・

 心電図に限らず生体信号の導出には、双極誘導と単極誘導の2種類あります

 双極誘導は、生体信号の導出を2ヶ所で(導出電極ある距離離して)行いそれを差動増幅器の⊕入力と⊝入力にとするので、その出力は入力信号の差分が出力されます

 単極誘導は、ある基準点を設けてそれと導出電極間の電位を測るものです

 それぞれ特徴があり、ノイズについていえば、双極誘導は差動で入力するので交流やアーチファクトの同相入力に対し除去しやすいことが言えます

 単極誘導は基準点が不関電極なので、そこの位置や変動やノイズの影響を受難いことです

 生体信号については、双極は限局的な起電力変化が表れやすいことや、導出位置などの影響を受けやすいことです

 また、単極誘導は全体的な変化を見るのに適し、不関電極の影響を受けにくいことです

心電図に混入するノイズの話 その4(PACなのかな、これは?)

心電図に混入するノイズの話 その4

では、実際にあった「これなんでしょう?」と言う心電図です

下図は3誘導のホルター記録です

青の矢印に注目、 自動解析でPAC2連で検出されました

前後の洞調律リズムからすると間入性PACのように見えます

形状は、CH1:CM5とCH2:CC5供も同じで、右脚ブロック様(或いは変行伝導)の上室性期外収縮かな

でも、CH2でS波ベクトルは左軸偏位のままで右脚ブロック様ではなさそうです

先行するはずのP波を探すと、スパイク状の波形がT波に乗っています(赤い矢印)

これが先行するP波であれば相対的不応期に出現したためPQが延びてると見えないこともないですね

CH3を見ると、P波と思しき波形の形状はスパイク状であり、緩い起伏を持つP波ではないようです

CH1、CH2のQRSに対応するCH3の波形は同様にスパイク状波形ですね

また、CH1とCH2は同一形状、同一方向、同波高のR波なので通常の刺激伝導系を通った

R波とは考えにくいと思います

その結果からすると、PACに見えたのは実はアーチファクトのようだと思いませんか

CH3が無かったら、判断に困った事例です

ではこのアーチファクトの原因はどう考えればいいでしょう

CH1・CH2同一方向で同レベルで振れてるので両チャンネル共通の所で発生したと考えられますね

そこは、両チャンネル⊖電極の場所でのスパイク状の電位変化と推測できます

おそらくは⊖電極への瞬間的衝撃などが原因かなと考えやすいですね

 

PAC様アーチファクト CH1:CM5 CH2:NASA CH3:CC5類似

 

さて次もPACと見紛うようなアーチファクトはちょっと判断に困るような波形です

下図の青い矢印がPACと思われるものです

QRS波の形状も両チャンネルとも似てるようで、間入性で前後に洞調律があります

先行P波は無いし非代償性休止期もないのでPACではないだろうけど、

悪いことに、両チャンネルとも同方向のR波でなく反対方向のR波が出てますね

両チャンネル共通の電極で発生したアーチファクトとは考えられなくなりました

では、上室性から出た波形と言っていい??

PAC様アーチファクト CH1:CM5 CH2:NASA

そこで、ほかの時間で同じようなアーチファクトが混入した波形を探すと、下図のような赤い矢印の波形がかなり見つかりました

波高値は小さいですが、CH2がqr波形となる類似波形ですね

これは筋電図のような波形でアーチファクトと見れるので、上図の波形もアーチファクトと判断してもいいと思いますね

ただ、上図のアーチファクトは波高値が大きいし単発で発生してるので筋電図と見ていいかどうか判然としません

チャンネル間で逆相性の波形なのでCH1とCH2で異なる電極で発生した電位変化が原因となったアーチファクトとも考えられますが

実際のとこちょっとわかりませんというのが本音です

PAC様アーチファクト CH1:CM5 CH2:NASA

まあこのようなアーチファクトがほんの少しだけ出てるのであれば、検出誤差範囲といっていいかもかもしれませんが、頻発するようだと一つずつ見ていかなければなりませんし、解析の邪魔になるしと、アーチファクトの対策を講じることが重要になってくるので、その原因をしっかり考えて対策しなければいけませんね

突然形状変化する右脚ブロック心電図だぁ

洞調律の右脚ブロックで、短時間で急激に形が変化する心電図がありました

間欠性や交代性などの変化は見たことがありますけどね

こういうのは殆ど見見たことがないので、あれって思って記事にしました

大体において、洞調律の心電図でRR間隔は同じでQRS波の形状変化するのは、体位変化による電気軸変化や刺激伝導系の変化によるものと思われます

 

被検者は76才、男性、昼前ごろに記録開始

PVCやPACは単発が4、5拍ほどで平均75bpmで徐脈、頻脈、洞停止などもありませんでした

 

記録から約30分後で下図の変化が起きました

HR62bpmの洞調律の右脚ブロックで、㏚間隔が0.24sでしたが、同じリズムの途中で突然ブロックが取れて5拍後に元の右脚ブロック波形に戻りました

波形変化の始まりと終わりに基線変動やアーチファクトの混入が見られないしリズム変化も見られないことから

これは突然・・・??  ですね

変化後の5拍の波形は、PPと㏚間隔は前と同じで

①CH1のR/S比はほぼ同じで、S波幅が正常範囲に戻った

②CH2は、r/S比が大きくなり、QRS幅も戻った

電気軸はざっと見て-10°位なので左脚前肢ブロックは考えにくいかなと

とすると、突然に右脚ブロックから正常伝導に切り替わって5拍後に再び右脚ブロック?

とすると、刺激伝導系で何が起こってるのでしょうか?

私の知見では、???? の連続です

  *この変化について知見のある方にぜひご教示願いたいと思います

 

 

そうこうしてる間に、右脚ブロック波形が少し変化して、CH2では「rsR'」から「rsR'R''」となり、r波が小さくなりましたから心臓が少し右軸側に動いたようにも見えますね

QRS幅が「R'R''」となり右室伝導が2段階で行われてるようです

 

 

その後に、また下図のような波形変化がありました

CH2のrs波高が、始まりの方の波形に比べやや大きくなっていて、形状は余り変わってないので

電気軸が少し左軸になり心臓が戻ったような感じですかね

 

その後しばらくして下図のような変化(3拍目から4拍目の変化)がありました

 

最初の3拍はrsR'型ですが4拍目からはrs型です

これはR'波がないので右脚ブロックの無い通常伝導となり、右室側の興奮がかなり弱い状態と

見做せないでしょうか

 

そしてまた、右脚ブロックに戻りましたね

これで記録終了まで続きました

なぜ突然に、1拍ならまだしも何も気づかないままリズムも乱すことなく短時間で伝導系が

突然変わるのか??

わかりませんね

 

心電図に混入するノイズの話 その3 (f波に見えるアーチファクト)

心電図に混入するアーチファクト、 その3回目です

如何にもアーチファクトと分かる波形は未だしもどっちなの?と思わせぶりな波形も多々

特に基線に入るP波状の低い周波数のノイズやR波に似た棘波、それに続く、T波様アーチファクト

これは、悩ませますねぇ

 

先ずは、基線に乗ってくる低い周波数で低い波高値の、厄介な波形

P波やf波、T波やU波などと区別がつけにくいアーチファクトが常に潜んでるようですね

 

下図を見てください

基線に細かに波がありP波ははっきりとわからないし、f波のようにも見えますね

RR間隔が一定なのでAf+Ⅲ度AVブロック??

CH2にはしっかりとP波が見えてる洞調律のようだし、CH1だけに混入してるし、RRは一定なので

f波ではなくアーチファクトだとわかりますね

ノイズ源はわかりませんが、10Hz位の低い周波数で0.2mV程度の大きさがCH1だけに混入し基線もやや揺れてるので体動による筋電図かなとも考えられますね

 

 

下図はパーキンソン病の患者さんの心電図です

振戦が起きてると思われるのでCH1にf波様のノイズが混入してます

よく見るとP波が分かりますね

こちらも、CH2にP波が明瞭に出てるので判断しやすいですが、これが両チャンネルで混入してたらおやっと?思ってしまうでしょうね