記念する第1回目の記事は、不整脈の基本中の基本、心室性期外収縮を詳しく見てみました
アーチファクトやノイズ混入の無いきれいな記録です
(いつもこうだといいんですけどね)
1段目には、右脚ブロック(完全型でしょうか)の中に、期外収縮があります
QRS幅が0.2秒と広いし、R波と反対向きの陰性T
波先行するP波もないし、これはどう見ても心室性期外収縮VPCですね
もうちょっと詳しく波形を見ていきましょうか
VPCを挟むPP間隔は先行PP間隔の2倍には成っていて、代償性休止期ですね
休止期中には、先行するPP間隔で来るべき場所((P)の場所)にSinusのP波が見えてないですね
P波はどこに行ってしまったのか
VPCの発生タイミングを、自己流に簡素化したラダーグラムでみてみましょう
(ラダーグラムは、Sinus洞結節:S,Atrial心房波:A,房室結節:AV,心室波:Vを縦軸に取り、横軸は記録と同じ時間軸をとります
■は刺激や興奮発生を表して、矢印が伝導時間の流れを表してます
見方は、「Sから出た刺激がAに伝わり心房を興奮させ更にAVを伝わってVに到達して心室を興奮させます 」ということです)
なお、詳しいことは、後日記事を書く予定でいます
心房に到達すると心房を興奮させてP波(逆行性P波と言います)となります
波形をよく見ると(P)手前、PVCの後ろ、幅広QRSのSTのあたりに小さなP波らしきものが見えています
これが逆行性P波ですね
刺激はさらに逆行し洞結節へと向かいます
そこでは洞結節の状態により2つのいずれかが起こります
①洞結節が次の刺激を発する前であれば、逆行性の刺激が洞結節をリセットし、次のPP周期が始まります(この場合は非代償性休止期を捕ることになります)
②洞結節が次の刺激を発した後であれば、逆行性刺激は洞結節からの刺激にブロックされて洞結節は影響を受けません(これが、代償性休止期となります)
この心電図は②の状況だったと思われます
またこれとは異なり、洞性P波がVPCの直前に出てるような場合は、心室からの逆行性刺激は、洞性刺激より後に伝導するので、洞房結節~房室結節のどこかでブロックされて洞結節が影響を受けることはありません
この場合も、代償性休止期を捕ります
さて、最後にこのVPCの起源はと正確に見るにはデータがなさすぎますね
ホルター心電図の2つの誘導、CM5(CH1)とNASA(CH2)から見える範囲で考えると、両誘導とも上向きのみR波なので下方に向かってくる下方軸と考えられます
さらに、V1誘導がないので何とも言えませんが、R波下行時にノッチが見らるので、先に右室が興奮してその後左室が興奮してるかと考えると、右室側流出路に期限があるのかなぁと推測できないでしょうか